本研究ではファージ・ディスプレーを用いて採取したDRGニューロン特異的に結合できる3種類の7桁ペプチド配列(DRG1、DRG2、DRG3)を用いて、in vivoにおいてDRGを標的として治療できる遺伝子治療ベクターの作成を試みた。M13ファージのpIIIを含む相同領域と変換して作成し、これによりファージ・ベクターがえられた。このベクターのマルチクローニングサイトに緑色蛍光色素(GFP)の遺伝子を組み込み、発現効果を見るためのテストベクターを作成した。これをマウスのクモ膜下腔に投与した後、DRG を取りだし、組織切片を作成して緑色蛍光色素の発現を観察した。しかし、GST融合タンパク質を用いた特異性の検討時と異なり、ごく僅かの蛍光しか認められず、発現効率はあまり良くなかった。この原因として、ファージ自身がきわめて不安定であることが考えられ、発現効率を上げるための改良が必要である。
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