研究概要 |
本年度はマウスES細胞由来血管前駆細胞(Flk-1_細胞)を血管内皮細胞および血管平滑筋細胞へ分化誘導した。まずES細胞をtype IV collagen-coated dish上で培養し、FACSを用いてFlk-1+VE-cadherin+E-cadherin+細胞を選別し、上記dishで再び培養した。3日後にVEGFをdishに加えた後、再度FACSを行い、Flk-1+細胞を選別し、最後にPDGF-BBを加え、Flk-1+細胞を増加させ移植に使用した。マウス慢性脳低灌流モデルはマウス(雄性C57B1/6、24-29g)の頸部を切開して左右の総頸動脈を露出し、直径0.18mmのマイクロコイルを両側総頸動脈に外側から装着した。1.偽手術群・血管前駆細胞移植群、2.偽手術群・生理食塩水投与群3.慢性脳低灌流群・血管前駆細胞移植群4.慢性脳低灌流群・生理食塩水投与群の4群を作成した。虚血30日後に脳のビブラトーム連続切片を作成し、血管再生効果は再生血管を標識LacZの染色、SMA免疫染色で評価した。白質病変はKluver-Barrera染色で評価した。3,4群ではSMA陽性血管の密度が皮質領域で減少傾向にあったが、有意ではなかった。4群すべてでLacZ陽性血管は認められず、移植血管の生着を確認できなかった。マウス由来ESでは移植効率の低さが他の実験系でも指摘されており、ヒトES, iPS細胞由来血管前駆細胞を用いて再検討中である。
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