研究概要 |
dkoマウス横隔膜にヘルパー依存アデノウイルスベクター(HDAdv)を用いて全長dystrophin遺伝子導入を行い、その治療効果を9週齢dkoで行ったところ広範囲にdystrophinが導入され,H.E染色では病理変化の改善をみとめた。中心核線維も治療群では非治療群と比較して有意に減少した(p<0.05)。また線維化の割合もdko治療群では非治療群と比較し,有意に減少していた(p<0.05)。横隔膜の生理機能評価で,筋張力は非治療群と比較して有意に改善した(p<0.05)。dkoマウスのwholebody plethysmographyを用いた呼吸機能評価では、治療群では一回換気量が増え、呼吸回数も減少し、明らかな治療効果がみられた(p<0.05)。 またPackaging construct、Envelope & REV construct、SIN vector constructの3つのプラスミドを293D細胞に同時に共感染させる3システムプラスミド方式で完全長dystrophinを搭載するベクターの作成に成功した。mdx cell line (1x10^6)にLv-CMV-FLdys 50μlをtransductionし、培養細胞でのdystrophinの発現を確認した。分化していないmyoblastを一側の前頸骨筋に筋注し、2週後に検査したところ、生着したmyoblastはお互いがfusionしてmyofiberに分化したもの、あるいはmdxのmyofiberとfusionしてmyofiberに分化したと思われる筋線維が観察された。 この他、骨格筋特異的とされるMCKプロモーターがmdxマウスでは前頸骨筋のtype IIBで発現が強く、MSCVプロモーターがヒラメ筋や横隔膜のtype I、IIAで発現が強いことを明らかにした(PloS ONE, 2011)。
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