研究概要 |
UDP-N-acetylglucosamine-2-epimerase/N-acetylmannosamine kinase (GNE)遺伝子異常による縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)の病態解析と治療法の開発を目的に、GNE結合蛋白の検索及び変異GNE遺伝子、GNEノックダウン細胞を用いたGNEの機能解析を行った。遺伝子導入では、FuGENE6、Lipofectamine 2000を用いた場合、多くは死滅したが、Lipofectamine LTX and Plus (Invitrogen)でマウス筋芽細胞由来のC2C4細胞に導入できた。日本人のDMRV患者に最も多いV572L変異GNEの細胞内局在は、野生型のGNEに比較して有意な変化はなかった。現在、siRNAを用いたGNE発現抑制細胞についてオートファジィー・リソソーム系列及びユビキチン・プロテアゾーム系列、新規GNE結合蛋白質に注目してマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行った。 縁取り空胞を伴うミオパチーの治療開発のためクロロキン投与ラット筋におけるIGF-1の空胞形成及び筋萎縮の抑制効果の検討では、有意に空胞形成を抑制し、その機序について、オートファジィー関連分子を検討し、その蛋白レベルに変化がある可能性を示唆した(論文投稿中)。クロロキンの標的障害部位の検討では、プロテアゾーム系、あるいはオートファジー/リソソーム系蛋白分解系の仕分けに関与するとされるVCP-Ufdl-Np14複合体は小胞体のみならず縁取り空胞にも関与していること、さらにLysoTrackerを用いた検討では、mitophgosomeの過剰形成に加え、LysoTrackerは、リソソームに取り込まれず空胞内のpHが高くなっていることを明らかにした。また、病態解析のためマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、発現量の変化が大きかった97プローブについてMGC,Ssadh,Trxrd2,Znt2,pTauなどが疾患関連候補遺伝子であることを明らかにした。
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