研究概要 |
本研究の目的は、遺伝子異常が確認されている種々の神経変性疾患、特にParkin関連パーキンソン病、SOD1関連筋萎縮性側索硬化症、アプラタキシン関連小脳失調症(EAOH)、ポリグルタミン病である常染色体優性小脳失調症Dentatorubropallidoluysian atrophy (DRPLA)に共通するDNA修復異常の有無について検討し、その関与がある場合には、治療に応用する事である。 本年度はGFP融合DNA修復蛋白のクローニングおよび、DNA修復をリアルタイムで定量することを検討した。ligase III,FEN1,PCNA,XRCC4,ligase IVの特異的配列を持つプライマーを作製し、HeLa細胞あるいはヒト神経芽細胞腫SK-N-MC細胞よりRNAを抽出後逆転写し、fidelityの高いポリメラーゼによりPCR増幅、その断片をpEGFP-N1,-C1、dsRed2またはdsRed-monomer-N1,-C1およびtagのないpcDNA3ベクターに挿入し、全長cDNAをクローン化した。クローン化されたcDNAも同様にdsRed系やpcDNA3に挿入した。また、配列をシークエンスにより確認した。 パーキンソン病(Parkin exon4欠失)、筋萎縮性側索硬化症(SOD1V7E)、EAOH(アプラタキシン689insT),DRPLA(アトロフィン1CAG67)の各患者由来線維芽細胞および年齢性別をマッチさせたコントロール細胞のDNA修復能をリアルタイムで定量した。405nmレーザーの出力を調節し、DNA単鎖切断、二重鎖切断、塩基損傷を作製する事ができるが(PNAS101;13738:2004)、それらはDNA修復の最終段階としてDNA ligase I(単鎖切断、塩基損傷)、ligase III(単鎖切断)、1igase IV(二重鎖切断)によって切断端が結合し終了する。GFP-またはdsRed2/monomer-ligase I,-ligase III,-ligase IVが損傷部位に集積した後、離散・分解を見る事でDNA修復の終結を観察した。
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