研究課題
【背景と目的】細胞膜蛋白であるaquaporin(AQP)は、ジストロフィン関連蛋白や細胞骨格蛋白と密接に関達し細胞の構造や浸透圧バランス維持、細胞接着、血管内皮細胞の細胞遁走、細胞の信号伝達に関与することが知られてきている。一方、Neuromyelitis Optical(NMO)においては、血清中に抗aquaporin4 (AQP4)抗体が疾患特異時に出現し病態に関与していろことが明らかにされつつある。アクアボリンは現在までに13種のメンバーが知られており、臓器ごとに発現するアクアボリンは異なり、機能に関しては、充分に明らかにされていない。以上の背景から、本年度は、aquaporin (AQP)の中のAQP4に注目し、神経筋疾患の筋組織の筋細胞膜上のAQP4発現に、病態に特異的な変化が存在するか検討した。【検討対象】診断目的に採取された生検骨格筋で、研究目的の利用の同意を得た、コントロール筋(03例、Dystrophinopathy(Dt)7例、Dysferlinopathy(Df)6例、神経原性筋(N)6例、筋炎(110.46例の生検筋を検討。【方法】8μmの厚さの凍結連続切片を作製し、抗AQP4抗体(Chemicon Internaltional AB3594)で免疫組紐染色をおこない、連続切片のルーチン組織化学染色性とアクアボリン抗体での染色変化部位を比較検討した。【結果】C群:全ての筋線維細胞膜に発現。疾患群:疾患にかかわらず再生線経は陰性。N群:神経再支配線経の一部における陰性化。Dt群:小径中心に陰性化筋線経の増加。Df群:陰性化筋線維の増加。IM群:炎症性変化に伴い陰性化線経が軽度から高度に増加。慢性例では高度低下。【結語】AQP4は再生、神経原性変化、慢性化といった、筋線経の病態変化に伴い細胞膜上の発現低下を認めたが、病態特異的変化は認めなかった。AQP4の染色性は個々の筋線経の状態に伴い変化しており、筋線経の状態を示す鋭敏な指標となるとことが明らかになった。
すべて 2008
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Exp Neurol. 209
ページ: 279-283
Neurology 71
ページ: 279-83