研究課題
パーキンソン病(PD)では黒質線条体系ドパミンだけでなく、多系統の神経系が変性する。しかし、神経変性から臨床症候に至る病態生理は不明な点が多い。研究の全体構想では、PDの病態生理をシステムレベルで理解するために、1.ドパミンをはじめとする神経伝達異常の同定、2.障害される神経ネットワークの特定、3.障害されたネットワークと臨床症候との関連ついての検討、を行う。研究期間中には、PDの臨床症候の中で、大脳皮質基底核ループの障害モデルによって説明可能なものは何か、を検討する。まず、PD患者の線条体でドパミンが欠乏している部位を同定し、対応する大脳皮質基底核ループを特定する。そして、ループが臨床症候に伴う異常な神経活動を示すかどうかを検討する。本研究で予想される結果としては、1.線条体のドパミン欠乏部位に対応するループが異常な神経活動を示す。この場合、その臨床症候が大脳皮質基底核ループの障害モデルで説明できることが示唆される、2.ループ以外の脳部位が異常な脳活動を示す。この場合、現状のモデルのみでの説明は困難であり、A.線条体のドパミン欠乏によって二次的に他の神経ネットワークが影響をうけている可能性、B.線条体以外のドパミン欠乏が関わる可能性、C.ドパミン系以外の神経系の変性が関わる可能性、などを考える必要がある。本研究の成果によって、PDの病態生理の理解を助ける新たなモデルを提案することを目指したい。平成20年度には、脳部位間の連絡を詳細に検討するため、健常者を対象として81方向拡散強調画像の撮像を行った。解析方法について検討を重ね、健常者の大脳皮質基底核ループを同定する手法をほぼ確立した。また、軽症のPD患者を対象として、ドパミン欠乏部位を同定する目的で、11C-CFTポジトロン断層法の施行も開始した。平成21年度はさらにデータを蓄積する予定である。
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