研究概要 |
ジストニアの発現機序として、線条体ドパミン機能異常による淡蒼球の活動性変化が提唱されている。DYT3ジストニアの責任遺伝子DYT3の遺伝子産物であるN-TAF1の単クローン抗体を作成しその脳内局在を同定した。その結果、N-TAF1は線条体投射神経細胞である中型有棘細胞に選択的に発現し、ストリオゾーム分画有意に局在していた。これらの所見はDYT3の機能病理を考えるうえで重要と考え、J.Neurosciに投稿中である。ヒト脳でのN-TAF1の発現も確認しており、N-TAF1がDYT3ジストニアの真の責任遺伝子産物であるかDYT3患者脳を用いて現在解析中である。線条体のドパミン受容体陽性神経細胞(D1細胞)の変性を生じる遺伝子改変モデルの解析では、ジストニア症状の発現時期と一致して線条体ストリオゾーム分画の神経細胞脱落が唯一病変として出現するが判明した。さらに、D1細胞の変性に伴いD2細胞の機能亢進が惹起されることを見出した。これらの所見はストリオゾームのドパミン機能異常がジストニア発現に関連していること示唆しており現在投稿準備中である。また、パーキンソン病患者に対する視床下核刺激術が腹部ジストニアによる腰曲がり(Camptocormia)に有効であることを示した(Mov Disord,2009;24:1076-1079)。さらに、淡蒼球内節刺激術がMeige症候群のジストニア症状を長期にわたって抑制することを報告した(Mov Disord,in press)。
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