研究概要 |
軽度認知機能障害(MCI)は正常と認知症の中間(グレイゾーン)であり,アルツハイマー病(AD)の前駆段階として注目されている.MCIの病因は臨床的に多様であると考えられ,4つのサブタイプに分類されている.各サブタイプと今後移行すると予測される疾患(病因)との関係も示されている. そこで本研究では,申請者らが開発したマルチモーダル視覚刺激を用いた視覚誘発電位(VEP),事象関連電位(ERP),機能的MRI(fMRI)により,各サブタイプにおける反応性の違いを検討することで,MCI患者のサブタイプ分類をより定量的・客観的に行う方法を確立する.それにより移行する可能性が高い疾患を予測でき,特に有効な治療法が存在するADへ移行する可能性が高いMCI患者を早期に発見し,早期治療に貢献する. 具体的には,(1)健常若年成人,老年成人およびMCI患者おいて,マルチモーダル視覚刺激を用いてVEP, ERP, fMRIを記録する.(2)サブタイプごとのVEP, ERP, fMRIの障害パターンを見出し,各サブタイプの神経心理検査,画像検査などとの関連性を検討する. 本年度は共同研究を行っている未来ICT研究センター(神戸市)および広島市総合リハビリテーションセンター(広島市)において,fMRI測定のための刺激呈示などのセットアップを行った.現在はMCI患者特有の異常所見を見出す目的で,健常若年成人でのfMRI反応の記録を行っているところである.
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