研究概要 |
本年度はcardiotoxin(CTX)損傷モデルを用い、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(UPA)投与による筋再生課程を検討した。 1.筋損傷モデルの作製 C57BL/6マウスの下肢大腿部に10μMのCTXを筋肉内注射することによりマウスに致死的な影響を与えることなく、筋損傷モデルの作製が可能であった。筋損傷はCTX投与1週間後が最も高度で、同部位には炎症細胞浸潤が著明に浸潤していた。これらの炎症性変化は投与3週間目には消失したが、筋萎縮は継続した。 2.ウロキナーゼ投与による筋再生の検討 上記モデルを、UPA600万単位を腹腔内に投与したUPA投与群と生理食塩水を投与したUPA非投与群に大別し、経時的に筋損傷部の変化を検討した。 CTX投与1週後:UPAとUPA受容体(UPAR)は、UPA投与群、非投与群ともDesmin陽性の好塩基性の再生筋線維の内在核、筋細胞質内および炎症細胞に発現していた。 UPA,UPARの発現のパターンは、両群問で異なっていなかった。一方、炎症細胞浸潤と筋萎縮は、UPA投与群の方が非投与群に比べ有意に軽度であった。 CTX投与2週後:UPA,UPARは筋線維の内在核のみ陽性を示した。UPA非投与群では、細胞浸潤は残存し、筋萎縮も投与群に比べ高度であった。 CTX投与3週後:UPA,UPARは筋線維の内在核にわずかに陽性であった。両群とも細胞浸潤は消失したが、UPA非投与群の筋線維萎縮は投与群に比べ有意に高度であった。
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