アデノシンA_1受容体はドパミンD_1受容体と、アデノシンA_<2A>受容体はドパミンD_2受容体と相反する作用がある。現在ドパミンD2受容体刺激剤が抗パーキンソン病薬の主流であるが、最近アデノシンA_<2A>受容体拮抗薬が開発され、治験が実施された。また、MPTPサルの実験やパーキンソン病の剖検脳の検討で、ジスキネジア例でアデノシンA_<2A>受容体が増加していることが明らかにされた。パーキンソン病の病態や薬物療法の副作用に、ドパミン系だけでなく、アデノシン系も重要な役割を担っていると考えられる。 本研究の目的は、治療後のパーキンソン病におけるアデノシンA_1およびA_<2A>受容体を調べることにより、ジスキネジア・睡眠発作・幻覚など、抗パーキンソン病薬の副作用とアデノシン受容体の関係を明らかにすることであった。学会などでの議論の中で、アデノシンA_<2A>受容体を画像化する^<11>C-TMSX PETの再現性が問題となった。治療による変化を見るにあたり、受容体の変化なのか検査値の誤差なのかを明らかにすべきであった。そこで健常者6例において^<11>C-TMSX PETを同じ条件で2回実施、^<11>C-TMSX PETの再現性を確認した。検査は全て終了し現在動態解析中である。アデノシンA_1受容体を画像化する^<11>C-MPDX PETについても動態解析について再検討、より安定した動態解析ができる手法が見つかる見込みとなった。 来年度はこれらを元に、パーキンソン病患者のデータを収集し、学会報告や論文を完成させる予定である。
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