研究概要 |
アデノシンA_<2A>受容体はドパミンD_2受容体と相反する作用があり、アデノシンA_<2A>受容体拮抗薬は新しい抗パーキンソン病薬として注目されている。東京都老人総合研究所は放射性薬剤^<11>C-TMSXを開発、世界に先駆けPETによるヒトでのアデノシンA_<2A>受容体の画像化に成功した(Mishina M et al., Synapse 2007)。科学研究費補助金基盤研究(C)17590901ではこれをパーキンソン病に応用、未治療パーキンソン病において、被殻アデノシンA_<2A>受容体は軽症側より重症側で低下していることを見いだした。また、抗パーキンソン病薬を投与すると、被殻アデノシンA_<2A>受容体分布が増加することが明らかになった。 これらをふまえ、本研究では、抗パーキンソン病薬の副作用の一つ、ジスキネジアとアデノシンA_<2A>受容体分布の関係を調べた。被殻アデノシンA_<2A>受容体分布は、健常者と未治療パーキンソン病では有意差を認めなかった。しかし、PETが実施可能な軽症ジスキネジア例でも、健常者に比べ有意に増加していることがわかった。 以上より、パーキンソン病ではドパミン分泌低下の代償としてアデノシンA_<2A>受容体が減少するが、抗パーキンソン病薬投与により増加し、さらに副作用のジスキネジア発現に関与することがわかった。これらの成果は、国内外の学会で報告するとともに、PLoS ONEより論文を出版した(Mishina M et al., PLoS ONE 2011)。
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