研究課題/領域番号 |
20591049
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (40420244)
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研究分担者 |
矢作 直也 東京大学, 医学部・附属病院, 准教授 (60420246)
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キーワード | 高血圧自然発症ラットSHR / 原因候補遺伝子 / ynurenine aminotransferase 1 / インスリン抵抗性 / 高血圧 / 交感神経亢進 / 欠損マウス / RNAiアデノウイルス |
研究概要 |
【目的】metabolic syndromeのモデル動物であるSHRの原因候補遺伝子産物KAT-1のノックダウン系及び欠損マウスを用い、その生物学的機能を調べる。【方法】KAT-1のRNAiアデノウイルスベクターを作製し、WKYの延髄吻側腹外側野(RVLM)への選択的投与、マウスへの経血管的投与により、それぞれ延髄及び肝臓でのノックダウンによる解析を行った。また、ES細胞を用いたジーンタ-ゲテイングの手法に従い、欠損マウスを作製し、解析を行った。【成績】1) micromjection法により、WKYのRVLM領域での選択的なKAT-1のノックダウン、経血管的投与による肝臓でのノックダウンがwestern blot法やリアルタイムPCR法で確認された。LacZに比べてKAT-1のRNAiアデノウイルスベクターを投与したwKYでは、2)血圧や脈拍の上昇、3) 24時間尿中カテコラミンの亢進、4)空腹時血糖値の高値が認められ、予想通りにSHRのRVLMへのKAT-1過剰発現系の結果と相反していた。5)一方、マウス肝臓でのKAT-1ノックダウンにより、脂肪組織重量、肝臓重量の変化や、糖脂質代謝への影響が確認された。6)KAT-1の欠損マウスが得られ、Southern blot法、リアルタイムPCR法、northern blot法、western blot法にて確認された。7) KAT-1欠損マウスでは、血圧の上昇、空腹時血糖値の高値、insulin tolerance testでインスリン感受性の増悪等が認められた。【結論】KAT-1の異常がSHRにおける高血圧や交感神経活動元進、インスリン抵抗性などの病因の一部を成す可能性が示唆された。現在、KAT-1欠損マウスに高塩食、高脂肪負荷による影響について、肥満モデル動物、動脈硬化モデル動物との交配により、KAT-1の肥満やインスリン抵抗性、動脈硬化への関与について、検討中である。
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