研究課題/領域番号 |
20591052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 尋史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323572)
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研究分担者 |
杉浦 清了 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
藤田 英雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (70327336)
加藤 昌義 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (40306345)
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キーワード | メタボリック症候群 / 内臓肥満 / 生体内分子イメージング / 血管新生 / 脂肪細胞 / VEGF / T細胞 / 炎症細胞 |
研究概要 |
心血管イベントのリスウ要因として、内蔵肥満を基盤とするメタポリックシンドロームが注目されている。内臓肥満は慢性炎症に伴い、脂肪組織の再構築(リモデリング)と機能異常を引き起こすと考えられているが、その詳細は不明であった。研究者は「生体内分子イメージング手法」を独自に開発し脂肪組織に応用し、生体内の脂肪組織の構築と細胞動態の可視化に成功し、ニリモデリングの詳細と背景にある分子機構、慢性炎症・免疫異常の関わりを明らかにした。本手法を用いた肥満脂肪組織の検討では、肥大した脂肪細胞とともに新たに小型脂肪細胞分化を認め、周囲には活性化マクロファージの浸潤と血管新生を伴っていた。VEGF中和抗体により血管新生を阻害したところ、脂肪細胞分化も抑制され、内臓肥満とインスリン抵抗性病態が改善した。一方、肥満脂肪組織の微小循環の検討では、白血球・血小板の血管壁でのadhesion及びroHngの増加が認められた。血管内皮及び白血球の接着分子の発現が肥満により増加しており、肥満脂肪組織局所での血小板の活性化も寄与していた。肥満脂肪組織ではこれらの炎症性の細胞動態とともに、血管内皮透過性の先進・線維化といった炎症の特徴も満たしており、脂肪組緒が正に炎症の場であることが示された。 さらに、これら異常な局所免疫のきっかけとして現在CD8陽性T細胞に注目し、肥満脂肪組織におけるリンパ球の役割を現在明らかにしつつある。このように、我々の開発した手法は、従来の手法では分からなかった細胞間相互作用を、生体内で直接可視化するもので、今後の研究展開に必須といえる。
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