研究概要 |
本研究ではGAD65ノックアウト[GAD65(-/-)]雌性NODマウスおよび、我々が作成したGAD65(全配列、N末端、中心部、およびC末端)プラスミドをin vivo electroporation法により導入し、各GAD-DNAに対する免疫反応を誘導し、この結果生じる糖尿病のフェノタイプを解析する。その結果以下のことが期待される。すなわち、(1)GAD65分子の各(エピトープ)部位に対する免疫反応がβ細胞障害と1型糖尿病発症に対して、促進的か抑制的役割をはたすかが明らかになる。(2)抑制的に働く部位を絞り込むことにより効果的なGAD65-DNAワクチンの分子配列が明らかとなる。 発現ベクターpcDNA3.1に、hGAD65(1-585aa)cDNA、hGAD67(1-594aa)、site-specific cDNAであるN末端cDNA:hGAD65(1-83aaおよび1-244aa)cDNA,中心部分:(244-443aa)cDNA,C末端(443-585aa)を挿入し、遺伝子導入用コンストラクトを作成。HEK293細胞にtransfectionし、発現のあることをWestern blottingで確認後、上記5種類のpcDNA3.1/hGAD65/67に加えてempty vector(pcDNA3.1)を、4週齢の雌性GAD65(-/-)NODマウスおよび通常の雌性NODマウスの前脛骨筋にin vivo electroporation法にて遺伝子導入(50ug/50ml)した。これらの免疫マウスの血糖値、血中インスリンを経時的にモニターリングし、耐糖能異常の出現をみた。現在は実験匹数を増やしておこなている。予備的な所見としては、N端末cDNA導入では糖尿病の発症が抑制されているのに対し、中心部分cDNA導入では発症が促進されていると思われる。また膵組織でのβ細胞、免疫細胞の活性化が確認された。現在重症化に至る期間とGAD65/67抗体の関連、認識部位の相違との関連を実験回数を増やして検討している。
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