研究概要 |
Site-specific GAD65分子を用いた劇症1型糖尿病におけるGAD65抗体の陽性者の解析 劇症1型糖尿病症例では約5%の頻度でGAD65抗体が検出される(Imagawa A et al., Diabetes Care 26:2345, 2003)。我々は既報のGAD65/GAD67キメラ分子を用いた検討で、この劇症1型糖尿病におけるGAD65抗体がGAD65分子の中心部位置(PLP site)を認識している成績を得た(未発表)。平成22年度では、GAD抗体陽性の劇症1型糖尿病に特異的なGAD65エピトープ同定と、その特異的な配列を検討した。その結果,劇症1型糖尿病患者および第1度近親者にはGAD65抗体、アミラーゼα 2Aに対する自己抗体(AMY2抗体)の存在が明らかとなった。経時的にGAD65抗体およびAMY2抗体の抗体価に推移をみると,発症時もしくは発症数ヶ月後にピークをきたし,以後低下する傾向がみられた。このような成績より,劇症1型糖尿病患者(n=3)の発症直後の膵島における免疫学的所見を検討した。特徴的な所見として,マクロファージ,CD8+T細胞の著明な浸潤を認めたが,自己抗体産生に関係するCD4+T細胞,B細胞などは認められなかった。また,免疫調節性T細胞(Treg)は膵島局所には認められず,CD11c+樹状細胞の浸潤とβ細胞の食食所見が著明に認められた。これらの成果はDiabetes(Vol.60, p884-889, 2011)に発表された。
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