研究課題/領域番号 |
20591057
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
濱田 洋司 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (20293706)
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研究分担者 |
長崎 弘 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座講師 (30420384)
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キーワード | メタボリック・シンドローム / 脂肪細胞 / S1P受容体 / アディポサイトカイン |
研究概要 |
<研究目的>本研究は、メタボリックシンドローム(MetS)の基礎病態として、セラミドの代謝産物であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)に着目し、S1Pとその受容体のアディポサイトカイン分泌への関与とMetSの治療標的としての可能性の探求を目的とする。平成21年度の知見として、5種類のS1P受容体(S1P1~-S1P5)のうち、主としてS1P3受容体が炎症性アディポサイトカィン分泌促進に関与することが明らかとなった。当初計画でメタボリックシンドロームモデル動物に投与予定であったVPC23019は、S1P1優位の阻害作用を旨示し、S1P3受容体に対する拮抗作用は弱いことから、十分な効果は期待できないと判断した。このため、H22年度はまずS1P3受容体特異的拮抗薬の効果を確認し、動物モデルの投与に適した薬剤の検討を行った。<研究方法>S1P存在下で、3T3-L1脂肪細胞からの炎症性アディポサイトカイン分泌に対する、S1P3受容体特異的拮抗薬であるBML-241の効果を検討した。またS1P受容体の下流シグナル分子とされるRho kinaseの阻害薬Y-27632の効果も合わせて検討した。<研究結果>成熟脂肪細胞において、S1PによるIL-6、MCP-1の発現・分泌亢進に対して、S1P3受容体特異的拮抗薬BML-241は、容量依存性に有意の抑制効果を示した。またY-27632もS1Pによる炎症性サイトカインの分泌増加を著明に抑制した。<研究成果の意義>本年度の研究成果により、S1P3特異的拮抗薬の炎症性アディポサイトカィン分泌抑制効果が明らかとなった。S1Pは広範な細胞機能を調節しており、その受容体全般に作用する拮抗薬の使用は副作用の危険性が高い。本研究によりS1P3特異的拮抗薬が十分に有効であることが判明したため、本薬剤を用いた動物実験に着手している。
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