研究課題
これまでの検討から、ヒト肝臓由来の細胞株であるHepG2細胞において、1.6kbのヒトSREBP-1cプロモーターがマウスRBMXにより活性化され、その作用部位はヒトおよびマウスSREBP-1cプロモーターで反応部位が異なること、この違いがRBMXとDNAの結合に介在するアダプター蛋白がヒトおよびマウスで異なることで説明できると考えられた。しかしながら、培養細胞ではマウスの肝臓で認めるような果糖によるRBMXの効果が増強しない事から、RBMXがヒトSREBP-1cプロモーターのどの塩基配列を認識しているかを同定するのが困難であり未だ同定に至っていない。アデノベクターを用いたRBMXの過剰発現は細胞増殖を抑制するものの、SREBP-1c遺伝子の発現を増加させなかった。同様にマウスを用いたin vivoでの検討においてもアデノベクターを用いた肝臓におけるRBMXの過剰発現は肝臓での脂質貯留を著明に高め、胆汁うっ滞を誘導する事が明らかになったが期待された脂質合成を誘導する転写因子であるSREBP-1c遺伝子の発現は誘導されなかった。プロモーター活性の調節とは異なり、実際の肝臓でのSREBP-1c遺伝子の発現には内因性のRBMXで十分機能している可能性が高く、今後、RBMXの発現抑制下において、ヒトおよびマウスの肝細胞でのSREBP-1c遺伝子の発現調節を検討することが重要と考えられる。
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