研究課題/領域番号 |
20591067
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小山 英則 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80301852)
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研究分担者 |
福本 真也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90381996)
田中 新二 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 病院講師 (20448749)
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キーワード | 終末糖化産物(AGE) / RAGE / 炎症 / 動脈硬化 / 血管内皮前駆細胞 / 心血管疾患 / 腎不全 / 糖尿病 |
研究概要 |
糖尿病の慢性合併症の成因において、高血糖とその結果形成される終末糖化産物(advanced glycationend-products, AGEs)は中心的な役割を果たすことが想定されている。多くのin vitroにおける検討により、高血糖・AGEは酸化ストレスを惹起し、血管内皮細胞の生理的恒常性の破綻、周細胞のアポトーシス・脱落、壁細胞の増殖・細胞外マトリックスの産生をうながし、微小血管においては無秩序の血管新生を、大血管においては動脈硬化を促進すると考えられる。近年、血中レベルに加えて皮膚組織AGEsをautofluorescenceとして非侵襲的に測定することが可能となった。この皮膚autofluorescenceは、皮膚組織生検標本中のAGEsと強く相関することが報告されているが、我々の解析では血漿中AGEsとの相関は非常に弱い。腎不全患者における我々の検討では、皮膚autofluorescenceは動脈壁硬化と正の、血管内皮前駆細胞数と負に相関することより、AGEの組織沈着が、心血管疾患リスク因子の一機序を担っている可能性がある。AGEを標的とした治療法として現在まで、AGE生成阻害薬、AGE架橋切断薬などが開発されてきているが、AGE構造多様性や、副作用など多くの問題がまだ克服されていない。そこで種々のAGE作用を細胞内に伝達するReceptor for AGEs(RAGE)を標的とした抗AGE療法の可能性を検討している。我々は内皮細胞を舞台としたTNFαなどのサイトカインがRAGE切断促進作用を有し、RAGEシグナルに深く関連することを見出した。現在この現象の細胞内機序を検討し、RAGE標的療法への応用を期している。
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