研究概要 |
本年度は、糖尿病患者107名(年齢65±11歳(SD)、罹病年14±10年)を対象に、動脈硬化の初期変化である血管内皮機能として上腕動脈内皮依存性血管拡張反応(FMD)およびニトログリセリン誘発性血管拡張反応(NMD)をUNEXEF18G (Unex Co. Ltd. Nagoya, Japan)にて測定した。さらに、初年度に引き続き、頸動脈のIMTおよびstiffness parameter βを同時に測定し、動脈硬化指標の相互関係および危険因子との関連性を検討した。その結果、(1) FMDは6.9±4.2%、NMDは11.8±6.4%、IMTは1.20±0.68mm、stiffness parameter βは12.3±5.3であった。(2) 単回帰分析では、FMDとIMT (r=0.025、p=0.802)、NMDとIMT (r=-0.086、p=0.420)は有意な関連は認められず、FMDとstiffness parameter β (r=-0.234、p=0.018)、NMDとstiffness parameter β (r=-0.294、p=0.005)は有意な負の相関が認められた。(3) 重回帰分析では、収縮期血圧に加えて、FMDでは年齢(β=-0.259、p=0.039)、NMDにおいて年齢(β=-0.412、p=0.003)とウエスト周囲径(β=-0.237,p=0.020)が独立した寄与因子であった。次年度に引き続き、データ収集解析予定である。 また、初年度から継続して収集したデータベース化のデータより、頸動脈IMTと冠動脈石灰化の新規バイオマーカーであるfetuinとの関連性を論文化し報告した(Emoto M, et al. Metabolism, in press, 2010)。
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