研究概要 |
1型糖尿病と2型糖尿病の共通の遺伝的基盤の同定を目的とし、まずは欧米の全ゲノム関連解析によって同定された1型糖尿病疾患感受性遺伝子のうちIL2RA遺伝子,12p13領域、16p13領域と日本人1型糖尿病との関連解析にて有意な関連を見出し報告した(JCEM 2009, JCEM 2009)。さらに、急性発症1型糖尿病、緩徐進行型1型糖尿病、劇症型1型糖尿病のそれぞれに対してのHLA疾患感受性ハプロタイプについて解析し、緩徐進行型は急性発症と質的に同等であるが量的に不完全型である点、劇症型は急性発症とは質的にも異なる点を明らかとした(Diabetologia 2009)。また新たに本邦において複数の自己免疫疾患(関節リウマチ、SLE、自己免疫性甲状腺疾患)との関連が報告されたFCRL3遺伝子の3つの一塩基多型について1型糖尿病疾患感受性との関連解析およびメタ解析をおこない、有意な関連を示さないが、甲状腺自己免疫疾患とは有意に関連することを報告した(第7回1型糖尿病研究会、2009、10th International Congress of the Immunology of Diabetes Society, 2009)。 また日本人2型糖尿病の全ゲノム解析をおこない、疾患感受性遺伝子を明かとし(Diabetes 2009)、さらにGCK,GCKR,G6PC2-ABCB11、MTNR1B領域がアジア人の空腹時血糖と関連を示すことも明かとした(Diabetologia, 2010)。今後2型糖尿病の全ゲノム解析にて有意なSNPを1型糖尿病のサンプルで解析を加え、共通の遺伝基盤の同定を目指す。
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