研究課題/領域番号 |
20591079
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20251233)
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研究分担者 |
磯尾 直之 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80420214)
森屋 恭爾 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00272550)
藤江 肇 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90332577)
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キーワード | ステロリン / NPC1L1 / spheroid HepG2細胞 / ABCG5 / ABCG8 |
研究概要 |
本年度は昨年度確立したウイルスベクターを用いての検討を行った。ヒト小腸型ABCG5 (iABCG5)とヒト肝臓型ABCG5(hABCG5)をそれぞれ単独でHepG2細胞に発現させると、いずれも理論上想定される分子量に相当する蛋白の発現が確認されたが、それぞれをABCG8と共発現させた場合、iABCG5においてのみ単独発現の場合に比べ新規により大きい分子量の蛋白の発現が確認された。この大きい分子量の蛋白質はPNGase処理にて消失することから、iABCG5が糖化を受けた蛋白質であることが判明した。ABCG8もhABCG5と共発現させた場合には大きい分子量の蛋白を認めなかったが、iABCG5と共発現させるとより大きい分子量の蛋白が出現し、これもPNGaseで消失した。今回の実験の結果から、iABCG5とABCG8は共発現させるとお互いの蛋白の糖化を進行させるが、hABCG5にはそのような作用は認めないことが判明した。なお、肝臓特異的ABCG5 (hABCG5)の確認は欧米人のcDNAライブラリーを用いての検討であったため、日本人でもhABCG5が肝臓におけるABCG5であることを、2名の日本人の肝組織から精製したcDNAを用いて確認した。 hABCG5-GFP,iABCG5-YFP,ABCG8-RFPの融合蛋白アデノウイルスを用い、細胞内蛋白局在を単層培養HepG2細胞(mHep)で行ったところ、単独発現でどの蛋白も小胞体に存在するパターンを認めた。iABCG5-YFPあるいはhABCG5-GFPとABCG8-RFPの共発現系にての検討でも、その局在に大きな変化は認めなかった。この現象はmHepの極性非形成によると考え、極性を有するsHepでの検証を試みたが、ウイルスがスフェロイドの表面に存在する細胞にのみにしか感染しなかったため、その局在を検討することができなかった。 HepG2細胞にNPC1L1を発現させると、胆汁酸とコレステロールのミセルを培養液中に入れることにより細胞内コレステロール濃度が上昇することを確認し、また細胞の小胞体ストレスがNPC1L1発現により亢進することを発見した。
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