研究課題
本研究では炎症制御の中核を担っているグルココルチコイドレセプター(GR)による転写因子AP-1の転写抑制メカニズムの本体を明らかにすることによる炎症制御の分子基盤の探求を目指してきた。その過程で、GRを介するグルココルチコイド依存性のAP-1タンパク(c-Jun)のSumo化がこの転写抑制のスイッチの役割を果たしていることを明らかにすることができた。本年は、そのSumo化制御の詳細なメカニズムを明らかにしたうえで、これまでの解析で明らかになったGRタンパクの分解制御メカニズムにこのエピゲノム制御がどのように相互に関係するかを明らにしようとした。その結果、細胞質と核内におけるタンパク分解を司る因子は異なること、そして両者が別々のメカニズムでGRの転写制御に関与していることが明らかになった。また、そのタンパク分解制御がGRに対する修飾依存性になされることを明らかにした。GRは、その転写活性化領域に対する修飾依存性に分解制御がなされるが、その分解制御を司る領域と転写活性に相関がある事が明らかとなった。一方、AP-1構成タンパクc-Junに対してもGRのタンパク分解を制御する因子は関与しており、転写抑制御の複雑さが明らかとなった。以上の事は、グルココルチコイドの様々な組織での機能の多様性を説明しうるとともに、その薬理効果のタイミングが異なる場合の機能制御の切り替えの可能性を示唆しており、臨床的に意味でも興味深いと考えられる。
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