研究課題
卵胞に発現するBMPは、共通して顆粒膜細胞での卵胞刺激ホルモン(FSH)によるprogesterone産生を抑制する黄体化抑制因子の特徴をもち、卵胞期におけるFSH刺激に対する未成熟排卵の抑制に寄与する。しかし、同じくFSHにより誘導されるaromatase活性とestradiol産生に対する作用については各BMPリガンドにより異なった作用を発揮する。平成21年度の研究では、近年報告された新たな卵母細胞因子であるfibroblast-growth factor (FGF)-8に着目して検討を進めた。FGF-8によるBMPシグナルへの影響として、顆粒膜細胞ステロイド合成能・増殖能の変化、estrogenによる卵母細胞FGF-8の発現変化についてラット卵巣初代培養細胞を用いて検討したところ、FGF-8が卵胞のBMPシグナルを増幅し、主にestradiol抑制に寄与することが明らかとなった。一方で、FGF受容体シグナルを抑制するとBMP作用が前面に出ることから、BMPとFGFシグナルは一部拮抗的に相互作用している可能性も示唆された。また、顆粒膜細胞のFSH受容体発現を促す内因性activinとBMPの相互作用についても同時にアプローチし、activinシグナル遮断時のoocyte-granulosa連関についても検討したところ、卵母細胞がFSHとBMP-2/4によるp38-MAPK経路を促進することによってestradiol分泌を促すことも明らかとなった。さらに、卵巣外内分泌腺(視床下部・下垂体・甲状腺・副腎皮質・副腎髄質・膵ラ氏島・骨組織・乳腺など)へのBMPの影響について検証し、組織特異的な生理活性をもつBMPが、「視床下部-下垂体一卵巣」からなる生殖内分泌系へ中枢から末梢まで広く調節作用を発揮することが示唆された。
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