我々は、SERMの組織特異性を規定する分子メカニズムを明らかにするために、エストロゲン受容体(ERα)にGFPタンパク質を結合させて、様々な組織由来の細胞で発現させて、その細胞内局在を解析した。乳癌細胞株において、エストラジオール(E2)存在下では、ERαは核内でfociを形成するのに対して、RLX存在下では、ERαは核小体に移行していた。このRLXによるERαの核小体移行は、他の組織由来の細胞株では認められなかった。蛍光抗体法を用いた実験より、内在性のERαもRLX存在下で核小体に移行することが明らかになった。ERαのへリックス12にアミノ酸置換を導入した変異型ERαを用いた解析より、このへリックス12がERαの核小体移行に必須であることが明らかになった。以上の結果より、ERαの核小体移行はRLX特異的であり、RLXで誘導される乳腺上皮細胞の増殖抑制において重要であることが示唆された。
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