研究課題
新規生理活性ペプチドNERP(NeuroEndocrine Regulatory Peptide)の摂食・エネルギー代謝調節機構における機能解析を行った。NERPに対する特異的抗体を用いたラット全身組織の免疫活性を検討した結果、NERP前駆体蛋白をコードするvgf遺伝子が発現する神経内分泌組織のなかで、中枢神経系、特に視床下部に高いNERP免疫活性を認めた。ラット脳の免疫染色でNERPの局在を検討した結果、ラット視床下部外側野にNERP-1およびNERP-2陽性ニューロンを認めた。外側野に存在する神経ペプチドであるorexin-AとMCHとの二重免疫染色で、NERP-2はorexin-Aと多く共存し、MCHとの共存はわずかであった。ヒト剖検で得られた視床下部外側野においても、NERP陽性ニューロンを認めた。自由行動下のラット側脳室にNERPを投与すると、NERP-2は明期において用量依存的に摂餌量を亢進させ、その最少有効量は0.1nmolであった。NERP-1やNERP-2の非アミド体であるNERP-2-Glyは摂餌を亢進させなかった。暗期直前でのNERP-2脳室内投与は、投与後1時間、24時間の摂餌量に影響を与えなかった。暗期直前の抗NERP-2IgGの脳室内投与は投与後24時間の摂餌量を抑制したことから、NERP-2は内在性の摂食亢進ペプチドであることが明らかとなった。NERP-2(5nmol per rat)の腹腔内投与では、摂餌量の亢進はなかった。以上より、新規生理活性ペプチドであるNERP-2は、摂食調節に関与する視床下部神経核に局在し、中枢投与で摂食を亢進する生理活性ペプチドであることが明らかとなった。
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Regul Pept 145
ページ: 12-16
Regul Pept, 145 : 141-146 (2008) 145
ページ: 141-146
Endocrinology, in press