研究課題/領域番号 |
20591104
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
中島 光業 松山大学, 薬学部, 准教授 (70311404)
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研究分担者 |
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
加来 鉄平 松山大学, 薬学部, 助教 (20435077)
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キーワード | プレセニリン1 / アルツハイマー病 / 神経堤 / 下垂体 / 成長ホルモン |
研究概要 |
プレセニリン1の生化学的な機能に関しては、アミロイド前駆体蛋白質やNotch等のI型膜蛋白質のプロセッシングにおいて重要な働きをすることが明らかにされている。一方プレセニリン1の生物学的機能については、これまでに神経発生過程と体節形成過程への関与が報告されていたが、最近申請者は血管形成過程並びに心臓形成過程にもプレセニリン1が必須であることを明らかにした。本研究では、下垂体形成においてプレセニリン1が必須の働きをすることを明らかにすると同時に、その過程で作製した神経堤細胞特異的プレセニリン1欠損マウスが下垂体低形成を伴う成長ホルモン分泌不全症(下垂体性小人症)のモデル動物である可能性について検討する。平成20年度は、解剖学的・血清学的・ならびに組織学的手法を用いて神経堤細胞特異的プレセニリン1欠損マウスの病態解析を行った。作製したプレセニリン1変異マウスでは出生後数日間は外観上異常は認められなかった。しかし、3週齢頃までに約50%の頻度で低体重・低身長の個体が認められた。成長ホルモン分泌不全症との関連性を探る目的で血中成長ホルモン濃度の測定を試みたが、対照を含めて検出限界以下であった。成長ホルモンの下流で発現制御を受けるIGF-Iの血中濃度を測定したところ、低体重・低身長の変異マウスにおいて血中IGF-I濃度の低下が認められた、低体重・低身長の変異マウスより下垂体を摘出し組織観察(HE)したところ、前葉部分に明らかな異常が認められた。前葉構成細胞の細胞体部分が変異マウスで明らかに萎縮しており、下垂体ホルモンの細胞内蓄積が少ないことが容易に推察された。これらの結果は、プレセニリン1が下垂体形成において重要な働きをすることを示唆している。今後は下垂体ホルモンの免疫組織化学を中心に解析を進め、下垂体形成におけるプレセニリン1の働きを明確にしたい。
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