研究概要 |
本年度の研究実施計画に対し,以下の成果を得た. 1.新規TRアイソフォーム(TRβ4)の細胞内発現 1)GFP-TRを作成し,培養細胞内発現分布を蛍光顕微鏡で観察した.T3の有無にかかわらず,核内局在が確認された. 2)TSH産生下垂体腺腫と非機能性下垂体腺腫のRNAにおいて,TRβ1やTRβ2に対する新規アイソフォームTRβ4mRNAの発現比率をリアルタイムPCR法で定量比較した.TRβ4の比率が前者で増加しており、T3に対するTSHの反応性低下との関与が示唆された. 2.変異PPARに対する薬剤の効果 培養細胞に,PPAR応答配列(PPRE)で駆動されるルシフェラーゼ発現リポーター遺伝子とアミノ酸変異を導入したPPARα,γ,δ蛋白発現ベクターを発現させ,培養液に各種薬剤(チアゾリジン系:TZD、フィブラート系、ARB、レチノイン酸等)を添加した,ベザフィブラートは全てのPPARを活性化したが(パンアゴニスト),いずれのアミノ酸変異でもその活性は低下した. 3.PPARを介した転写調節に対するTR発現の影響 薬剤によるPPARを介した転写刺激(遺伝子発現の活性化)に対し,TRを共発現させると転写は抑制され,さらにT3を加えるとその抑制は解除された.ヘルペス転写活性化配列(VP16-AD)にTRを繋いだキメラ蛋白発現ベクターのVP-TRを用いたmammalian one hybrid法による解析で、TRはPPREに直接結合することが示唆された.
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