研究課題/領域番号 |
20591107
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
日野 純 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 室長 (40260351)
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研究分担者 |
宮里 幹也 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 部長 (50291183)
荒井 勇二 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 室長 (30202724)
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キーワード | BMP-3b / TGF-β / アディポサイトカイン / 脂肪細胞 / 分化 / 内分泌 / 分子型 / 前駆体 |
研究概要 |
本年度は、BMP-3bの脂肪組織における機能を、遺伝子発現レベル及びタンパク質レベルでの検討により解析した。 BMP-3bは、私達が骨組織より単離した遺伝子で、骨芽細胞分化抑制活性を有する。また、初期胚発生過程においては、BMP-2などのアンタゴニストとして作用し、脳・神経系形成(頭部形成)に必須の内在性因子であることも明らかにしてきた。一方、脂肪組織においてBMP-3bは、骨組織と同等の高いレベルで発現しているが、その機能は不明であった。 脂肪組織を成熟脂肪細胞分画と前駆脂肪細胞を含む非成熟脂肪細胞分画(SVF)に分離し、本因子の発現分布を調べた結果、SVFに多く発現していた。また、株化細胞では、3T3-L1細胞(前駆脂肪細胞)において発現を認めた。3T3-L1細胞及びSVFを成熟脂肪細胞へ分化誘導し、その過程における発現を調べた結果、分化中期で一過性にBMP-3b発現が増加していることが判った。以上の結果は、BMP-3bが前駆脂肪細胞に存在し、その成熟脂肪細胞への分化調節作用を有することを示唆している。これまでの我々の研究で、BMP-3bは前駆体でも活性を有し、従来知られていないユニークな活性型分子型での作用機序を明らかにしている。生理活性の検討に際しては、分子型の解明が重要であるため、3T3-L1細胞における分子型の解析を行った。その結果、本細胞から分泌されるBMP-3bは、従来我々が報告したものと異なっているだけでなく、BMPファミリーでは知られていない、前駆体の一部分と成熟体との複合体を形成するという新たな分子型であることを明らかにした。これは、TGF-βの不活性な潜在型複合体と類似しているが、BMP-3bにおいては、前駆体でも活性を有することから、この複合体の新たな機能や活性化メカニズムが示唆される。これらの結果を踏まえ、現在、生理活性を検討中である。
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