研究概要 |
当該研究室により樹立されたCD20陰性リツキシマブ耐性細胞株RRBL1、およびCD20低発現細胞株Ly3, Ly10などを用いて、リツキシマブ耐性化機序を解析した。In vitroにおけるクロム放出試験の結果、リツキシマブによる細胞障害活性(ADCCおよびCDC)は、CD20発現量に依存することが示され、CD20発現の消失がリツキシマブ抵抗性に重要な病態の一つであることが確認された。また、CD20低発現細胞株をエピジェネティック薬(ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化酵素阻害剤)で処理することにより、CD20発現が部分的に誘導されることが確認され、さらにリツキシマブに対する感受性も一部回復(耐性の克服)することが確認された。誘導前後の遺伝子発現パターンについてマイクロアレイをもちいて比較検討すると、CD20 (MS4A1)遺伝子発現と同調して特定の遺伝子群の発現が活性化されることが確認された。これらの因子をクローニングし、CD20遺伝子プロモーターレポーターベクターを用いたin vitroの系において、実際にCD20発現調節に重要であるかどうかにつき現在確認を進めている。また、リンパ腫細胞がCD20を発現しているかどうかについて生体内で経時的に確認するため、金コーティング酸化鉄ナノ粒子で標識したリツキシマブを開発中である。現時点において、金コーティング酸化鉄ナノ粒子は既に作成済みであり、ヒトB細胞性腫瘍移植(Xenograft)マウスモデルの系も確立されている。
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