GCB-type DLBCLとABC-type DLBCLに対するrituximabの効果の差について、両者由来の細胞株を用いたin vitroの細胞傷害アッセイを行った。検討したのは直接的なapoptosis誘導作用、ADCCおよびCDC感受性試験である。用いた細胞株は、GCB-type DLBCL由来細胞株DHL-4、DHL-10、ABC-type DLBCL由来細胞株Ly-3、Ly-10である。Rituximabによるアポトーシス誘導効果については、GCB-type細胞株に比べてABC-type細胞株においてよりrituximabに対して低感受性であることが示された。またrituximabのADCC、CDC活性についてin vitro chrome releasing assayによって評価したところ、ABC-type細胞株に比べてGCB-type細胞株においてADCC、CDC感受性が高いことが判明した。 これらの結果は臨床症例における免疫組織染色を用いたDLBCL亜型とrituximab効果との関連に関する報告に一致しないものだった。最近DNA microarrayを用いた大規模解析により、rituximabによる化学療法の効果増強作用はDLBCLの両亜型ともに認められることが報告された。この結果は今回の解析結果と矛盾しないとも考えられたため、DLBCL亜型におけるrituximab効果の差についてはさらに検討が必要と考えられた。 一方Rituximabの効果は細胞株間で大きく異なるため、その分子機序を解明する目的でCD20発現レベルやapoptosis関連分子とrituximab治療効果の関連について検討を進めている。またepigenetic drugなどによりCD20発現の変化が認められるため、rituximab感受性増強療法を目指した検討を加えている。
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