白血病細胞におけるkpm発現異常の解析 様々な白血病細胞株、新鮮白血病・リンパ腫細胞におけるkpm(Lats2)mRNAの発現量をquantitative PCR法で定量化し、白血病の種類および悪性度とこれらの分子の発現低下との関連性を調べた。その結果、難治性リンパ系腫瘍のATLとNK白血病リンパ腫では殆ど例外なくそれぞれ正常のCD4+T細胞とNK細胞に比較してkpmの発現が著明に減少していて、難治性の症例ほど低い傾向が見られた。一方、AMLでは非白血病骨髄細胞(様々な系列、分化段階の細胞が混在)に比べてkpmの発現がむしろ増加している傾向が見られた。以上の結果から、kpmの発現低下はリンパ性腫瘍の治療抵抗性と相関することが確認された。 線虫におけるkpm(warts)相同遺伝子産物と相互作用する分子の同定 2008年4月に研究代表者が京都大学医学部から立命館大学生命科学部へ転出したことに伴い、ヒト検体を用いた実験の継続が困難となった。そのため、材料の準備や実験操作の点で利便性の高いC.elegansをモデル動物に選んでHippo経路の基本構造を明らかにする研究を開始した。これまでに、kpm(warts)の相同遺伝子wts-1を単離し、酵母発現ベクターに組み込み、Yeast two-hybridシステムを用いて線虫cDNAライブラリ(理研および名古屋大学生命理学研究科松本研より入手)からwts-1と相互作用する分子のスクリーニングを行った。現在、得られたいくつかの候補クローンについて解析を進めている。
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