研究概要 |
C.elegansをモデル動物としてHippo経路の基本的な構造と機能を明らかにするために以下の研究を行った。 (1) C.elegansのWarts相同体(wts-1)と相互作用する分子の探索 C.elegansのWarts相同体であるwts-1のkinase domainを欠損させた変異型(wts-1ΔKD)をbaitとしてyeast two hybrideシステムを用いてスクリーニングを実施し、16個のprey候補を得て、そこからこれまでに10個の独立したクローンを単離した。現在、その中でE3ユビキチンリガーゼであるNHL-1について一過性発現系での共免疫沈降による相互作用の確認実験および、個体レベルでの相互作用および発現型の機能的関連性についてのepistasis解析を行っている。 (2) C.elegansにおけるRASSF相同体T24F1.3と相互作用する分子の探索 DNA傷害性ストレスによって活性化されるATMがRASSF1Aをリン酸化して、MST2とLats1の活性化とp73の安定化を引き起こすことが報告され(Curr Biol 19:2020-2025, 2009)、がん細胞の遺伝子の不安定化にRASSF1Aの欠損とともにHippo経路が関与することが示唆されている。そこで、C.elegansの唯一のRASSF相同体であるT24F1.3をbaitとしてyeast two hybridシステムを用いてスクリーニングを行い、これまでに30個の候補遺伝子を同定した。その中で、F11E6.7 (Rif1)、Rab-1、Rab-39などを有力候補と見なして、一過性発現系での共免疫沈降による相互作用の確認実験および、個体レベルでの相互作用および発現型の機能的関連性についてのepistasis解析を行っている。
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