研究概要 |
1,慢性骨髄性白血病急性転化(CML-BC)における、各種遺伝子プロモーターのメチル化の検討。 CML-BC16例を対象に、13遺伝子について、methylation-specific PCR法を用いて、DNAメチル化パターンを解析した。P15遺伝子で18%、MGMT遺伝子とRARβ遺伝子でそれぞれ12%、p16遺伝子・DAPK遺伝子・およびFHIT遺伝子において、それぞれ6%の症例でメチル化が認められ、全体としては、25%の症例で、少なくとも1つの遺伝子のメチル化が認められた。一方、p14・RB・hMLH1・hMSH2・APC・RIZ・およびSOCS-1遺伝子ではメチル化が認められなかった。以上の結果より、DNAミスマッチ修復遺伝子より細胞周期調節遺伝子の方が、CML-BCに関与していると考えられた。ただ、本検討では慢性骨髄性白血病慢性期のメチル化については検討できていない。したがって、これらの異常がCMLの発症に関与するのか、CML-BCへの進展に関与するのかは不明である。 2,小児急性リンパ性白血病における新規癌抑制遺伝子の同定 申請者がこれまで発見した、149個の癌抑制遺伝子の候補について、リアルタイムRTPCRを用いて、急性リンパ性白血病細胞株(TALL1,PALL-1,NALL-1)において発現が減弱しているか検索した結果、76個の候補遺伝子の発現が低下していた。次に、それらの遺伝子の発現が臨床ALL検体において減弱しているかどうか調べた結果、52個の候補遺伝子の発現が低下していた。これらの候補遺伝子の予想される機能から、癌抑制遺伝子であると考えられるか検討し、データを総合して候補を絞り込んだ結果、新規癌抑制遺伝子として適当なものが23個同定された。
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