研究課題
JAK2変異が認められる骨髄増殖性腫瘍である真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症の病態を明らかにする目的で、変異JAK2を発現するトランスジェニックマウスを作製した。2ラインのマウスが得られ、line 1マウスでは、約20%は真性多血症様の病態を、約30%は本態性血小板増多症類似の病態を呈した。変異JAK2発現量を比較すると、真性多血症マウスでは、本態性血小板血症マウスと比較し、有意に変異JAK2の発現量が増加しており、さらに、全てのマウスにおいて、Hb値と変異JAK2発現量の間には正の相関が認められた。つまり、変異JAK2発現量が多いと赤血球が、少ないと血小板が増加することが明らかになった。ライン2マウスは、貧血、白赤芽球症、肝脾腫、骨髄の線維化など、ヒト骨髄線維症とほぼ同様な病態を呈した。ライン2マウスの骨髄を野生型マウスに移植すると、ドナーマウスと同様にヒト原発性骨髄線維症の症状を呈するが、野生型マウス由来の骨髄細胞をライン2マウスに移植しても、これらの症状は出現せず、JAK2変異を有する造血細胞が病態の中心をなすことが判明した。骨髄増殖性疾患の10数%にはTET2の遺伝子変異がみられる。TET2欠損マウスは生後24時間で死亡するため、TET2欠損マウスの胎児肝を野生型マウスに移植し、TET2の欠損が造血システムや造血幹細胞に与える影響を検討した。移植後3ヶ月の時点では、TET2欠損胎児肝を移植したマウスでは、正常胎児肝を移植したマウスに較べやや白血球数が多いものの、著明なものではなく、継続した観察が必要と考えられた。
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