研究概要 |
造血器腫瘍を初めとする各種がん組織における腫瘍血管新生の重要性が報告され、腫瘍血管特異的抗原も同定されている。申請者らは白血病マウスに対して熱ショック蛋白(HSP)とDCの併用により白血病特異免疫を有効かつ安全に誘導する画期的な治療法を開発中である(Iuchi Y, Sato K, et.al. Int J Hematol, 2006)が、この基盤技術を応用し、腫瘍血管抗原をも標的とした免疫療法の併用により、難治性白血病の克服を目指す。この一環として、我々は、マウス白血病細胞由来のHSP70のマウスへの投与によりイディオタイプ抗体をはじめとする白血病特異抗体を誘導し、白血病拒絶を促進できることを証明した(Jimbo J, Sato K, Ikuta K, et.al. Cancer Sci. 2008). また、A20マウスの腫瘍組織における腫瘍血管の有無を血管内皮マーカーであるCD31染色や腫瘍血管内皮細胞での発現亢進が報告されているVEGFR1, VEGFR2, bFGFR2、 DELTA4における免疫染色で検討中である。また、A20腫瘍組織から腫瘍血管内皮細胞(腫瘍EC)のCD31抗体を用いてのMACSによる分離や、腫瘍ECに対する抗HSP抗体の反応性検討中である。また、A20だけでなくマウス骨髄腫細胞を用いた担癌モデルを作成中であり、同時に腫瘍血管を超音波も用いて描出検討中である。なお、当初の計画にはなかったが、より効率よくマウス腫瘍内皮細胞への腫瘍免疫を誘導するため、白血病マウスの腫瘍組織から血管内皮細胞を抽出し、それを不死化して増殖し、その後にHSP70を精製することを計画しており、現在ヒトteromerase reverse transcriptase遺伝子(hTERT : 2909-6362)を含むプラスミドベクターを作成し、標的細胞への導入を試みている。
|