研究課題
当該年度において申請者は、樹状細胞による血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome, HPS)モデル(in vitro)を用いて、TNF阻害剤がHPSを抑制することを証明し報告した。引き続いて、wild typeのマウスを用いたHPSモデルを確立してin vivoにおけるTNF阻害剤の有効性を証明した。米国血液学会で発表した。現在論文を準備中である。さらにTLR9の代表的リガンドであるCpG-oligodeoxy nucleotide(ODN)2006が造血に及ぼす影響を検討した。その結果、CpG-ODN 2006は赤芽球系の増殖を選択的に抑制することを発見した。抑制はODN配列特異的で、backboneに化学的修飾のないphosphodiester(PO)を有するODN(2006-PO)のみに認められた。興味深いことに、2006-POは細胞の巨大化を誘導した。これは、ヒトparvovirus B19(B19)感染による赤芽球癆の病態に類似することからB19-DNAと2006-POのDNA配列を検討し、P6プロモーター領域に共通配列5'-GTTTTGT-3'を認めた。GTTTTGTを含む合成B19-DNAは配列特異的にBFU-Eを抑制し、2006-POと同じくEPO受容体(R)mRNAとEPORの発現を抑制することにより赤芽球系に選択的な抑制を示すと考えられた。B19感染患者のB19 genomeもまた2006-POと同じくBFU-Eの増殖とEPOR発現を抑制した。本研究から、赤芽球系の選択的抑制におけるB19-DNAの関与、および、ヒトの造血における微生物由来の配列特異的DNAの関与が示唆される、という重要な知見を得た。
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Blood Epub
Int J Hematol 91
ページ: 61-68
Blood 114
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