研究課題/領域番号 |
20591147
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
井上 克枝 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (10324211)
|
研究分担者 |
井上 修 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (00432154)
尾崎 由基男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
|
キーワード | 血小板 / CLEC-2 / podoplanin / 癌転移 |
研究概要 |
我々は血小板活性化蛇毒、ロドサイチンの血小板上受容体が、CLEC-2であることを見出した。さらに我々は、CLEC-2の生体内のリガンドが腫瘍膜上に発現するポドプラニンであること見出した。ポドプラニンは血小板凝集を惹起して癌の転移を促進するため、CLEC-2/ポドプラニンの結合を抑制することで、癌転移を抑制できる可能性があるが、ポドプラニンが発現する腫瘍細胞の種類は限られており、これのみを標的とした癌転移の制御には限界がある。また、ポドプラニンが血栓止血領域で役割を果たすとは考えづらく、今回CLEC-2の第二のリガンドを同定することを計画した。今年度の成果を以下に述べる。1. 転移に関連する第二のリガンドの検索:in vivo imaging装置を用いてマウスを処分せずに転移の広がりを観察する方法を確立した。2. 血栓形成に関与する第二のリガンドの検索:血管平滑筋の細胞表面にCLEC-2リコンビナント蛋白が結合することをフローサイトメーターで確認した。また、血管平滑筋上に全血を流すと血栓が形成されることを見出した。これより血管平滑筋上に何らかのリガンドが発現していると思われた。それを同定するためにビオチンラベルした細胞を可溶化してリコンビナントCLEC-2あるいはコントロール蛋白でプルダウンし、アビジンにより結合蛋白の検出を試みた。しかしながら対象蛋白に認められず、リコンビナントCLEC-2のみに結合する蛋白は、実験ごとに変化して一定の結果が得られず、期間内の同定はかなわなかった。病態生理学的な意義づけとして、冠動脈疾患に対するステント留置後に生じる再狭窄は、血管平滑筋の増生が主因と言われている。増生による内腔の物理的な閉塞の他に、平滑筋上のCLEC-2リガンドがCLEC-2と結合して血小板を活性化することがステント血栓の一因ではないかと考えている。
|