研究課題
平成20年度の研究において、enhanced green fluorescent protein(EGFP)マウスの骨髄または脾臓から分離した単球、好中球、B細胞、T細胞は、四塩化炭素による肝傷害を与えたC57BL/6J-Ly-5.1マウスに輸注後、傷害肝内に生着するものの、CD45陰性細胞への変化はLy-6C^<high>c-kit^-の成熟単球とLy-6C^<low/->c-kit^+の骨髄単球系前駆細胞を輸注したマウスでのみ検出されることがわかった(EGFP陽性細胞の30%と13%がCD45陰性であった)。これらの細胞は肝星細胞のマーカーであるvimentinとADAMTS13が陽性であり、肝星細胞と同定された。本年度の研究では(1)輸注細胞として末梢血中に数%存在する好酸球も骨髄から分離し、四塩化炭素傷害マウスに輸注したが、CD45陰性細胞は検出できなかった。(2)単球系細胞を輸注したマウス肝臓で検出されたCD45陰性細胞はα-smooth muscle actin陽性であり、活性化星細胞であることが判明した。(3)Ly6C陽性細胞を除去した末梢血液細胞を輸注した際は、傷害肝に輸注細胞が生着するもののCD45陰性細胞への変化が検出されなかった。また、末梢血液細胞の表面抗原解析からLy6C陽性細胞は全てc-kit陰性であったことから、Ly-6c^<high>c-kit^-細胞つまり末梢血を循環する成熟単球が肝星細胞の前駆細胞であることを確証づけた。次に、肝星細胞の前駆細胞がどのような機序で骨髄から末梢血に動員され、傷害肝内へ生着するのかをケモカインシグナル特にMCP-1/CCR2経路に焦点をあてて解明する目的で、CCR2 antagonistとしての作用を有する肝免疫賦活薬のPropagermanium投与が肝臓への輸注細胞の生着または肝星細胞への分化に与える影響を検討した。コントロールと比較して肝臓内で検出されるEGFP陽性細胞数は減少するとともに、その中でのCD45陰性細胞の比率も減少していた。
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