研究課題/領域番号 |
20591156
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
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研究分担者 |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
石毛 美夏 日本大学, 医学部, 助教 (90420950)
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キーワード | 造血幹細胞 / 臍帯血移植 / 脱分化脂肪細胞 / GVHD / 生着不全 |
研究概要 |
1.放射線照射による骨髄傷害マウスに対する脱分化脂肪細胞移植の効果 C57BL/6Jマウスに放射線照射(700cGy)を行い骨髄傷害を誘導後、マウス脱分化脂肪細胞(DFAT群、5x10^5)または生理食塩水(コントロール群)を3日間、尾静脈より投与した。移植後、経時的に末梢血および骨髄中の血液細胞を採取し、造血細胞の回復の程度をフロー・サイトメーターを用いて比較した。その結果、移植21日後の骨髄造血幹細胞(Lin^-c-kit^+Sca-1^+)はコントロール群に比べDFAT群で有意に増加した。またDFAT群では、骨髄中のヒトB細胞(CD45^+CD19^+)数、単球(CD45^+CD11b^+)数、骨髄球(CD45^+CD13^+)数が有意に増加した。以上の結果より、脱分化脂肪細胞移植は、放射線、照射後の骨髄造血細胞の回復を促進することが明らかになった。 2.脱分化脂肪細胞の臍帯血造血幹細胞生着率に及ぼす効果 免疫不全(NOD-SCID)マウスに放射線照射(300cGy)を行った後、マウス脱分化脂肪細胞(DFAT群、5x10^5)または生理食塩水(コントロール群)と共にヒト臍帯血造血幹細胞(Lin^-CD34^+、1x10^4)を経静脈的に移植した。移植後、経時的に末梢血および骨髄中の血液細胞を採取し、FACS解析を行い、ヒト由来血液細胞の生着率を比較した。その結果、移植4週、12週後の末梢血中および骨髄中のヒトCD45^+細胞は、コントロール群に比べDFAT群で有意に増加した。以上の結果より、脱分化脂肪細胞移植は、ヒト臍帯血移植における生着率を増加させることが明らかとなった。 これらの検討により、臍帯血と脱分化脂肪細胞の同時移植は、臍帯血移植における生着不全を予防する有効な治療法となりうる可能性が示唆された。
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