研究課題
本研究では、NKT細胞を利用した造血器腫瘍に対する有効的な免疫療法の開発を目指している。NKT細胞はCD1d上に提示されたα-GalCer等の糖脂質を認識して活性化、抗腫瘍効果を発揮することが知られている。これまでの研究で、NKTのリガンドであるα-GalCerをパルスした腫瘍(以下Tumor/Gal)ワクチンのB16メラノーマモデルで宿主樹状細胞の機能を賦活させることによる抗腫瘍効果増強を示していたので、今回の目的は、造血器腫瘍の担癌動物モデルでの抗腫瘍効果を評価であった。腫瘍細胞株として、マウス骨髄単球性白血病株(WEHI3B)、マウスB細胞リンフォーマ細胞株(A20)を用いた検討を行った。またワクチン効果の増強を目指して、WEHI3B,A20にヒトCD20の遺伝子導入株を作成した。CD20を発現させることにより、NK細胞やマクロファージのADCC活性が促され、より効率的な生体内樹状細胞による腫瘍抗原のクロスプライミングの増強するものと予想された。白血病治療モデルでは有意な生存率の延長を指標としたところ、ミトキサントロン、Ara-C、ジェムザールの3種の抗癌剤の組み合わせでは、高用量ではTu/Galとの組み合わせ増強効果は認められなかった。そこで低用量組み合わせることにより、治療効果が認められるかどうか検討した結果、ジェムザールとTumor/Galの組み合わせの群で生存率の延長が認められた。tumor/Galと抗癌剤の併用効果については、免疫制御細胞の機能抑制による抗腫瘍効果増大を意味する。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (3件)
Cancer Sci
巻: 101 ページ: 2333-2340
Int J Hematol
巻: 92 ページ: 152-160
J Clin Invest
巻: 120 ページ: 2610-2618
Int Immunol
巻: 22 ページ: 319-328
Blood
巻: 115 ページ: 230-237
Semin Immunol
巻: 22 ページ: 97-102
Curr Immunol Review
巻: 6 ページ: 109-115