【目的】我々は、May-Hegglin異常に代表される白血球封入体を伴う巨大血小板性血小板減少症の原因遺伝子MYH9を同定し、MYH9異常が引き起こす一連の疾患群としてMYH9異常症を提唱した。本疾患群に特徴的な白血球封入体は、ドミナントネガティブ効果によるNMMHC-IIA蛋白の異常集積が原因であると考えられているが、封入体が認められない血小板ではハプロ不全が示唆されている。昨年度に引き続き、強制発現細胞における異常NMMHC-IIAの局在を解析した。【方法】内因性にMYH9を発現しないCOS-7細胞を用いて強制発現を行い、MYH9 5818delG変異により新たに生じるC末端側の6アミノ酸配列を認識するNT629抗体と、野生型のC末端側を認識するPRB440P抗体を用いて二重免疫蛍光染色を行なった。また、細胞接着能へのNMMHC-IIA発現の影響を解析するために接着斑数および細胞面積を計測した。【結果】5779delC NMMHC-IIAは凝集することなく、野生型と同楼な線維状局在を示した。細胞接着への影響を接着斑数と細胞面積を計測することにより評価したところ、NMMHC-IIA発現COS-7細胞はMYH9変異に関係なくラメリポディアの伸展抑制、接着斑形成の増加が見られた。【結論】ミオシンフィラメントの形成にはミオシン重鎖尾部での二両体形成が必要である。フレームシフトによる異常NMMHC-IIAには、coiled-coil領域およびassembly competent domainは保たれていることから、フィラメント形成阻害が低い可能性が考えられた。
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