ILK作用分子の解析 これまでの研究期間に、ILKがインテグリンの活性化に重要であるとともにILKに結合する分子として細胞内アダプター蛋白質、PINCHとparvinが関わること、および3者が複合体を形成して互いの蛋白安定化に寄与する可能性を示した。今年度はインテグリン活性化シグナル伝達の最終ステップにおいてインテグリンβ3鎖の細胞内ドメインに結合し活性化を誘導すると考えられている分子、タリンやキンドリンとの関連を解析した。恒常的に活性化したキメラインテグリンαIIbα6Bβ3を発現する親株細胞を用いてタリン、キンドリン-2あるいはILKのノックダウンを行なった。また、ノックダウンした細胞ライセートにおいて少なくともこれら3蛋白質の発現をイムノブロットで確認した。その結果、3蛋白質の何れか1つが減少しても、リガンド類似抗体PAC-1(活性化した血小板インテグリンαIIbβ3特異抗体)の結合が低下することを明らかにできた。 β3インテグリンの機能発現に関わる分子のクローニング: これまでに、ILK以外の分子の単離を目的とした発現クローニングを行うため、化学変異原EMSでインテグリンが非活性状態に変異したミュータント細胞にILKを過剰発現させ、活性化を誘導しない変異株を複数得た。今回、これらの変異株にcDNAライブラリーを導入し、インテグリンの活性化を誘導するcDNAのクローニングを試みている。
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