研究概要 |
SLE患者におけるRasGRP1発現異常に関する我々の検討で, 末梢血におけるRasGRP1スプライス異常とそれに伴う正常蛋白発現の低下が確認されている. RasGRP1スプライスバリアントを発現させた細胞株をプロテアソーム阻害剤, NMDを阻害するcaffeine, wortmannin, LY294002等で処理してRasGRP1蛋白の発現を検討したが明らかな変化はみられなかった. 一方, IFNやTNFによるJurkat細胞株の刺激で蛋白発現やmRNA発現に変化を認めており, 炎症性サイトカインによってRasGRP1のスプライシングや発現が調整されている可能性が示唆された. 現在, 異常RasGRP1のRNAが正常RasGRP1の発現をdolninant-negativeにコントロールする可能性についても検討している. 関節リウマチ患者におけるRasGRP4の発現については, これまでの検討で末梢血単核球にスプライスバリアント5-13を同定している. 患者群において有意にバリアント5及びバリアント6の頻度が高く, 特にバリアント6は患者群においてのみ認めた. 少数例を用いた予備実験では単球における正常RasGRP4蛋白発現はRA患者において低値であり, その一方で分解産物と推察されるバンドを検出した. また滑膜炎局所では組織染色においてCD68陽性細胞におけるRasGRP4発現がみられ、単球が分化後も炎症組織においてRasGRP4蛋白が存在し, 何らかの機能を持つことが推察された. 現在, バリアントを遺伝子導入した細胞株において, 特にシグナル分子の発現がどのように変化するか, マイクロアレイを用いて解析中である.
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