関節リウマチ(RA)は、炎症性細胞の関節局所への浸潤と関節滑膜細胞の炎症性増殖およびそれに伴う関節破壊を特徴とする。RAの発症には遺伝的素因に環境因子が関与していると考えられているが病因は不明である。また早期RAを診断できる適切な血清マーカーはない。近年の生物学的製剤による治療法は従来の治療法と比して各段に優れているが、無効例あるいは効果減弱例が認められることや治療費が高価な点が問題である。microRNAは近年発見されたメッセンジャーRNAから蛋白への翻訳を抑制・制御する重要な分子であり、ヒトの1/3の蛋白の発現を制御していると考えられている。 本研究の目的は、RAの病態におけるmicroRNAの関与を実験関節炎モデルで詳細に検討し、microRNAをターゲットとした新しいRAの治療法や診断法の可能性を明らかにすることである。 平成21年度以降の実験計画は実験関節炎モデルにおけるmicroRNAを標的とした治療の関節炎抑制効果の検討であった。われわれは7週齢オスLewisラットにMycobacterium tuberculosis含有不完全フロインドアジュバント(1.0mg/0.1ml)を尾根部に皮下投与し関節炎の誘導を行った。関節炎は約10日後に100%の発症が確認された。この関節炎モデルにマイクロRNA前駆体とアテロコラーゲン(高研)の混合液を関節局所に投与し関節炎を抑制するか否かを検討した。その結果、関節炎を抑制することが示唆された。
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