研究概要 |
本研究では、リウマチ炎症性疾患を中心とした患者検体を解析し、ヘムオキシゲナーゼ-1の病態における意義を検討した。ベーチェット病患者においては、その末梢血単核細胞に構成的なTLR4の発現亢進があり、TLR4経由の刺激を受けることにより、HO-1発現が低下し、TNFなどの炎症性サイトカインの産生が亢進するという炎症の悪循環を形成していた(Kirino Y, Takeno M, Arthritis Res Ther,2008)。また、アトピー性皮膚炎では病変局所にHO-1の高発現が観察され、病変局所では疾患制御的に作用していること、血清HO-1レベルと臨床的重症度が相関していることを見いだした(Kirino M, Takeno M, J AIIergy Clin Im munol.2008)。また、睡眠時無呼吸症候群患者ではヘムオキシゲナーゼの分解産物である血中COレベルが重症度に相関して睡眠後に上昇し、その異常はCPAP治療により解消されること(Kirino M, Takeno M, Chest2008)も報告した。さらに、肺癌のシスプラチン耐性機序にはHO-1の高発現が関与しており、この機序はEGF-TK阻害により制御しうること(Lung Cancer,2009)を報告した。以上のように、本研究は、リウマチ性疾患のみならず、多岐の分野にわたる研究成果を生み出した。
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