研究課題/領域番号 |
20591175
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣畑 俊成 北里大学, 医学部, 教授 (90189895)
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研究分担者 |
永井 立夫 北里大学, 医学部, 講師 (60365947)
松井 俊通 北里大学, 医学部, 講師 (20348519)
橋本 篤 北里大学, 医学部, 助教 (50327376)
和田 達彦 北里大学, 医学部, 助教 (60383585)
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / 中枢神経病変 / ループス精神病 / 脳脊髄液 / 自己抗体 / グルタミン酸レセプター / 抗リボソームP抗体 / Th1反応 |
研究概要 |
本年度はまず抗グルタミン酸レセプター(NR2)抗体とCNSループスの諸症状との関係について、症例を増やして解析を行った。その結果、抗NR2抗体は従来の報告どおりCNSループスの中でループス精神病患者の髄液中で上昇していることが裏付けられた。さらに、横断性脊髄炎を示す患者2名の血清・髄液中で抗NR21抗体が上昇していることが明らかになった。また、抗グルタミン酸レセプター(NR1)抗体についても、ループス精神病患者1名の髄液で陽性になることが明らかになった。今後、これらの点について明らかにしてゆく必要がある。 次に、これまで髄液中のIL-6がCNSループスで上昇していることが明らかになっている。本年度は、髄液中のIL-8について検討を行った。その結果、髄液中IL-8はやはりCNSループスにおいて上昇しており、髄液IL-6と相関を示した。従って、髄液IL-6とIL-8は共通の機序によって上昇している可能性が示唆された。これまでの結果より、IL-8もIL-6と同様にその産生細胞としては神経細胞である可能性が考えられる。今後、抗神経細胞抗体の中にこれらのサイトカイン産生を増強する者がないか検討する必要があろう。 最後に、抗神経細胞抗体の1つである抗リボソームP抗体が免疫反応に及ぼす影響を検討した。抗リボソームP抗体は健常人末梢血単核球のIFN一γ産生を上昇させた。このIFN-γ産生の上昇は抗IL-12モノクローナル抗体の添加により抑制された。さらに、抗リボソームP抗体は末梢血単球によるIL-12産生を増強した。以上より、抗リボソームP抗体は末梢血単球のIL-12産生を増強することによりTh1型の免疫反応を誘導することが示唆された。今後は、このTh1型反応が如何にして中枢神経病変の発症に関わるのかについて検討してゆくことが必要である。
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