研究概要 |
関節リウマチ(RA)および変形性関節症(OA)症例数例より手術時に得られた滑膜組織を用いて以下の検討を行った。 1)包括的変動蛋白解析:滑膜細胞を培養し経時的に培養上清の炎症性サイトカイン(IL-1α、β,TNFα,β,IL-6),T cellサイトカイン(IL-4,IFNγ,IL-17,IL-17F)、ケモカイン(MIP-1α、β、MCP-1),成長因子(VEGF, MCSF),プロテアーゼ(MMP-9)を多項目同時解析手法(Multiple Analyte Profiling: MAP)により解析した。RA患者3名由来滑膜組織の予備的検討では、破骨細胞形成期に、TNFα,β,VEGF, M-CSFとT細胞由来サイトカイン(IL-17)の増加がみられる症例が多かった。今後、RANKL, OPGなどの破骨細胞調節因子も加えたmaicroplateを作成し,症例を増やして検討する。 2)包括的遺伝子発現解析(ジーンチップ解析)は約47,000の転写産物/54,000のプローブセットが搭載されているAffymetrix社製Human Genome U133Plus2.OArrayを用いてGeneChipExpression Analysisにより行った。RA滑膜細胞培養0〜12日目の変動遺伝子を2名の患者で予備的に解析した。培養後、1日目以降より,破骨細胞マーカーであるTRAP5b(ACP5)遺伝子の著明な発現増加がみられた。Pathway analysisではNFkB signaling, p38MARK signaling, Toll-like receptoe signaling, chemokine signalingに変動遣伝子の集積がみられた。破骨細胞関連、骨代謝関連、血管新生関連遺伝子の解析を行っている。遺伝子発現と変動蛋白と一致しない部分もあり,症例を増やして検討する予定である。
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