研究概要 |
関節リウマチ(RA)および変形性関節症(OA)症例より手術時に得られた滑膜組織を用いて以下の検討を行った。前年度、Affymetrix社製Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いて、RA滑膜組織培養中に破骨細胞が形成される過程において、発現に変動がみられた遺伝子を包括的に解析した。その結果、培養後、1日目以降より,破骨細胞マーカーであるTRAP 5b(ACP5)遺伝子の著明な発現増加がみられ、本培養モデルで滑膜組織より破骨細胞が分化・形成されることが確認された。 本年度は、5例のRA患者並びに4例のOA患者の人工膝関節置換術時得られた滑膜組織を培養し経時的に培養上清の培養上清の炎症性サイトカイン(IL-1α、 β, TNFα, β, IL-6),T cellサイトカイン(IL-4,IFNY, IL-17, IL-17F)、ケモカイン(MIP-1α、β、MCP-1),成長因子(VEGF, MCSF),プロテアーゼ(MMP-9)を多項目同時解析手法(Multiple Analyte Profiling : MAP)により解析した。RA患者由来滑膜組織培養では培養10~14日目で、TRAP陽性多核細胞275~418/wellが形成されたが、OA患者由来滑膜組織培養では、43~76/wellと少なかった。RA滑膜組織培養では培養初期から、高濃度のIL-6が検出されたが、経時的な変動はみられなかった。一方、TNFα,VEGF,M-CSFとT細胞由来サイトカイン(IL-17, IL-4)の増加が破骨細胞の増加に一致する培養10~14日目にみられた。OA滑膜組織培養では、炎症性サイトカイン、T細胞サイトカインの産生は少なく、破骨細胞の形成期におけるサイトカインの増加も明確でなかった。 遺伝子発現と変動蛋白と一致しない部分もあり,症例を増やして検討中である。
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