研究概要 |
関節リウマチ(RA)および変形性関節症(OA)症例より手術時に得られた滑膜組織を用いて以下の検討を行った。平成20-21年度には、Affymetrix社製Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いて、RA滑膜組織培養中に破骨細胞が形成される過程において発現が変動する遺伝子および蛋白を包括的に解析した。培養後、1日目以降より,破骨細胞マーカーであるTRAP 5b(ACP5)遺伝子の著明な発現増加がみられ、Pathway analysisではNFkB signaling, p38MARK signaling, Toll-like receptoe signaling, chemokine signalingに変動遺伝子の集積がみられた。本年度は、サイトカインや破骨細胞誘導因子の変動を多項目同時解析手法(Multiple Analyte Profiling : MAP)を用いて,症例を増やし検討した。RA6例、OA5例より手術時に得られた滑膜組織を培養し,1, 2, 3, 4, 6, 8, 10, 12, 14日目の培養上清を測定した。IL-1α、βやケモカイン(MIP-1α,β,MCP-1)は培養後初期に産生がみられたがその後減少傾向で,RA,OAの間に差はなかった.MCSFやVEGFは培養後2週間にわたり,持続的な産生が見られたがRA,OA滑膜組織で差はなかった。また、sRANKLやT細胞サイトカイン(IL-4, 10, INFγ)の産生も両疾患で差はなかったが、TNFβとIL-17の培養後1週間の産生はRA滑膜で有意に多く、特にIL-17Fの産生が顕著であった。今後、IL-17A/IL-17F及びTNFβのRA滑膜組織由来破骨細胞形成における役割を明らかにすることが重要である。
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